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イキウメ「太陽」を観て [演劇]

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昼と夜に、別れてしまった未来。

強く若い肉体を手に入れた夜の住人と、彼らの登場によって古くなってしまった普通の人たち。
理想と現実にもがき、さけび、走る、未来からの寓話。
イキウメの SF、今春上演いたします。

評価は、星5つです。
★★★★★

奥寺純子(克哉の姉)…岩本幸子
奥寺克哉(純子の弟。事件を起こして失踪)…森下 創
奥寺鉄彦(純子の息子)…大窪人衛
曽我征治(ノクス、玲子の夫、区役所職員)…盛 隆二
曽我玲子(ノクス、結の母親)…伊勢佳世
金田洋次(ノクス、医師。草一と同郷で玲子の友人)…安井順平
森繁富士太(ノクス、見張り番)…浜田信也

劇団員の配役は初演と同じでした。
ここまで初演と同じとは!
びっくりしました。
でもそれだけ深化していたと思う。

客演が以下の配役でした。
生田結(草一の娘)…清水葉月
生田草一(結の父)…中村まこと

このお二人も素晴らしかった。

ノクスの登場から四十年。
かつて日本と呼ばれた列島には、ノクス自治区が点在し、緩やかな連合体を築いていた。
都市に住むノクスに対し、旧来の人間は四国をあてがわれ、多くが移住していたが、未だ故郷を離れず小さな集落で生活するものもいた。
かつてノクス殺傷事件を起こしたその集落(長野八区)は、隣接するノクス自治区から経済封鎖を受け続けていた。
ほとんどのものが集落を離脱し、残った住人は二十数人。
その十年続いた村八分的な制裁が終わりを告げ、再びノクスとの交流が始まった…。

ウイルス感染して、それを克服した人類。
寿命が延び、知性が増し、本能より理性が上回る人種となった。
それがノクス。
そんな彼らにも弱点がある。
それは太陽の光を浴びると死んでしまう体質であること。

本来ならば病人のノクスが数が増え、
いつの間に人類の逆転が始まった世界。
旧人類はただ年老いていくのみ。
そして旧人類は骨董品という意味のキュリオと名付けられていた。

それは生田父と同級生のノクスの医師金田との対比で知る。
かたや五十代の容姿、かたや三十代の容姿。

物語は、閉鎖されていた集落でノクスに憧れる二人の少年少女。
そしてノクスとの交流を得て、
ノクスになった少女とキュリオのままの少年。
そしてノクスの未来に絶望する金田。
という構図で幕を閉じる。


初演の時に感じたのは人類の絶望感。
それはエンディングで金田がノクスの未来の絶望を語り、
夜明けを待つシーンがメインであり、
夜明けの太陽の照明が金田の体を焼く感じが鮮明だったからだ。

今回の再演は人類の夜明けという感じ。
エンディングで同様に金田がノクスの未来の絶望を語るが、
そこにキュリオであり続けることを選択した鉄彦と
生まれつきノクスであり、鉄彦に現実を教えた森繁が、
同じ位置に立っている姿があり、
希望を感じた。

関数ドミノのそうだったけど、イキウメの作風がエッジの効いたSFから、
後味が少しよくなったSFになってきたのかな。


劇中の経済制裁から集落を援助するために訪れた役人が語る口上に、
善意の押し売りほど厄介なものはないと感じた。
復興は他人が感じることでなく、被害者側が感じることであり、
やる気なんて「誰」のために見せるのか?
でも支援する側は「善意」の対価は「喜び」と思っているのがあらわにされた気分。

あとノクスは、意識高い系という名の現代病かもしれない(笑)
キュリオとは話が噛み合わない訳です。

私は中性脂肪高い系なので、太陽に関係なく焼け太りで死ぬ可能性高しです(^_^;

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