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TOKYOハンバーグ「愛、あるいは哀、それは相。」を観て [演劇]

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TOKYOハンバーグTOKYOハンバーグ

生まれて初めての転校生になった次女は、もうすぐ17歳。
こっちに来た頃は毎日泣いていたけれど、最近はあまり泣かなくなった。

この街でも保母さんになった長女は、死んだ主人にそっくりで、
子供たちの話をする時は、まるで主人と同じような笑顔を見せてくれる。

母親の私はというと、親戚が経営する喫茶店で働かせてもらい、
朝早くからコーヒーの豆を挽いては、ここに辿り着いた理由を探す。

この街で暮らす人たちの優しさや思いやりが時々、本当に時々、胸を痛くして
どうしたらいいのか、どう生きてゆけばいいのか、わからなくなる時がある。
何が本当で、何が嘘だなんて、誰が教えてくれるの?
私たちが知っていること、それはあの日を生き残ったということ。

ふるさとを離れて、もうすぐ5カ月。
この街では初雪が舞い散り、それを眺めては帰りたくなる。
私たちが生まれ育った街、南相馬へ。

評価は、星4つです。
★★★★☆

冒頭の津波シーンは何度見ても胸が締め付けられる…
映像で見ても凄いというのは理解できるが、
擬似的にその時に近い感情で目の前で人が叫んでいるというのは、
演劇ならではの迫力ですよね。

再々演の演目で震災から5年になるが、
劇中の震災後半年、1年後に語られたことに、
今現在どれだけ答えが出せたのか?
進まない帰還に誰かが責任を負うのか?

故郷からは逃げるな、帰ってこいと言われ、
避難先では福島は帰る場所ではないと言われ、
何が正しいのか。

劇中の大晦日、喫茶店での伊勢神宮の祀りのエンヤ-!の掛け声と祈りの言葉に救われる。
神が新しい場所に降りるように人も新しい場所に移る。
誰に許しを乞うことなく。

再々演は主人公を三姉妹から母娘に変えていたが、
より家族を守る為の話になりよかった。

長女が故郷に帰る時の言い争いは正解がないだけに辛いシーンであったが、
西山水木さん演じる母の怒りがとてもよかった。

あと対立していたジャーナリストにおかえりという次女もよかった。
最初は帰りたいと泣いて願っていた次女が、
疎開先の三重の喫茶店に、根付き帰る場所になった。
福島に帰った長女も、帰る場所を見つけた。

どちらが正解か分からないが、
それは今も帰れない人と同じで正解はどこにあるのだろうか。
それは誰かに教えてもらえるのか、それとも自分で見つけるのか。

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