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「帰ってきたヒトラー」を見て [映画]

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映画『帰ってきたヒトラー』公式サイト映画『帰ってきたヒトラー』公式サイト

ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?
「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。
リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、
長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。
自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、
過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、
大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。
彼がタイムスリップしてきた〈ホンモノ〉で、70年前と全く変わっていないことを。
そして、天才扇動者である彼にとって、
現代のネット社会は願ってもない環境であることを―。

あらすじと予告編を見てみたくなった映画を見に行きました。


この予告編を見ると現代にヒトラーがタイムスリップして、
ドタバタコメディかなと思ったのですが、
意外と社会派で驚きました。

まず映画の構成なのですが、
モキュメンタリーですね。
ヒトラーが現代にタイムスリップするところからスタート。
ヒトラーが知り合ったテレビのディレクターと全国旅をするのですが、
ここがドキュメンタリーという感じです。
ヒトラーの格好した主演の人がアポなしで様々な場所で現れて、
民衆と語ります。そこがこの映画の肝だと思いました。

ヒトラーといえば、
ドイツでは著書が発禁になるくらい、
タブーな存在。
でも彼が第1次世界大戦後に、
敗戦国となり閉塞された状態を打破した政治家であり、
国民が選んだ代表だったという事実が、
意外と浸透しているからでしょうか、
思ったより好意的に民衆は受け入れますし、
現代の問題を彼に赤裸々に語ります。

その話で特に印象深かったのは、
移民の子供が店に石を投げてくるので、
それを注意したいが、注意したらその親に刺されるという
女店主の話でした。
毎週400人もベルリンで増える難民。
彼らには厚い保証がされ、仕事が与えられ、
低賃金の労働力となる。
その代わりに仕事を追われる自国民が生まれる。
そして移民先で移民元の文化そのままで生活する。
軋轢が生まれ、差別が生まれる。

ヒトラーがいなくても、種は蒔かれ育っている様が見えて、
ぞっとする光景です。

テレビでモノマネ芸人として、
露出するヒトラー。
途中犬を射殺した動画を流されて、
干されますが、自叙伝を出してそれが受けて復帰します。
犬を殺して批判されるヒトラー。
ユダヤ人が虐殺されても当時のドイツでは批判はなかったのに、
ここに強烈な皮肉が込められていました。

日本では誰がヒトラーになるのでしょうか?
少なくとも安倍晋三はヒトラーにはなり得ないと思いました。
映画の中のヒトラーは演説の巧さを、
テレビやYouTubeで披露して、
ネットで盛り上がり、テレビでも取り上げられ、
民衆の間に浸透していきました。
この映画ではヒトラーによって、
民衆が扇動され、扇動された民衆がヒトラーにさらに力を与えた様を、
現代社会で再現して見せました。
あの時よりもより短時間で。

日本では東条英機?
彼が総理大臣の時に開戦しましたが、
彼のスピーチに人は驚喜するでしょうか?
では昭和天皇?
昭和天皇は立憲主義を守り、
終戦の政断するまでは、政治を語っていません。
(開戦も避けるように東条英機に言っています)
では日本におけるヒトラーは誰か?
国民を扇動して狂喜されたのは誰なのか?
それは新聞です。
日本の場合は、新聞がマスコミが国民を焚きつけました。
それを考えると一人のモンスターのドイツと違って、
複数の記者、新聞会社が国民を焚きつけ、
過激な内容ほど売れるために、民衆を扇動したとすれば、、
ドイツよりも日本の方が根深い闇がある気がしました。

映画のラストで語られるヒトラーの言葉。
それは国民一人が抱える闇であり、
良識をどこまで保てるかという普遍的なモラルの問題と思いました。


映画内でヒトラー最後の12日間のパロディシーンなどあり、
コメディ映画なのですが、エッジの効いた内容でした。
面白かった。


帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

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  • 作者: ティムール・ヴェルメシュ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/23
  • メディア: 文庫



帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

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