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芝居屋風雷紡「庚申待の夜に」を観て [演劇]

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芝居屋風雷紡芝居屋風雷紡

夜が更ける。
庚申待の夜が更ける。

庚申待を知っとるか?
人間の身体の中には三尸(さんし)の虫っちゅうのがいてな。そいつが庚申の日に天に昇って、天帝にその人がした悪さを言いつけるっちゅう。
だから今夜は寝てはなんねぇ。
一晩中起きて、三尸の虫が昇っていけねえようにするだ。

鉱毒被害と強制破壊ですでに廃村に等しい谷中村。
村で唯一家屋の形を残しているのが、この神社だ。
神社は唯一村民たちの集いの場でもある。
60日に一度の庚申待の日には、谷中村にへばりつくようにしてなんとかその日を過ごしている残留民も、村を立ち退かざるをえなかった旧村民たちも、みんなが集まってくる。

庚申待の夜は眠っちゃなんねぇ。
一晩中三尸の虫を見張ってねぇといけねえだ。

見ざる聞かざる言わざる
あの夜俺たちがかぶってしまったこの面はどうしたらはずせるんだろう。

明治。
近代化されていく世の中の激流に飲まれ、沈められた一つの村の、お祭りの夜のお話。

評価は、星4つです。
★★★★☆

毒で黒くなったのは躰だけでなく心もだったのか?
それとも最初から黒かったのか?
残された男が庚申待の明け方までに見たのは、昨晩の出来事なのか?
それともいつの庚申待の夜の出来事だったのか?
微かに聞こえる鳥の鳴き声。神(ナガラ様)は奇蹟を起こしたのだ…

最初の関係性を掴むのに時間がかかったが、後半グイグイと引き込まれた。
そして戦慄した。
自分の地元にも、旅の親娘が川の氾濫を鎮めるために身を投げてくれた伝説が残るが、
私は村人が勝手に捕まえて放り投げたと思ってる。
地元は未だに繁栄してないのは呪いか…

この話江戸時代とかでなく、100年前の話なんですよね。
そして鉱毒と同じように故郷を追われた人が100年後にもいた。
なんかやるせない。

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