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パラドックス定数「トロンプ・ルイユ」を観て [演劇]

paradoxconstant - パラドックス定数 公式ウェブサイト
走れ人間。笑え競走馬。
今まで何千何万もの仲間たちが
この場所を駆け抜けた。
風が吹けば砂塵が舞い上がり
雨が降れば泥の海になる。
そんな場所を俺は走る。
金とか欲望とかそういうことはよくわからない。
夢とか希望とかそういうこともよくわからない。
だけどコーナーを曲がって最後の直線
湧き上がる大歓声の中をただ真っ直ぐに
先頭を走る。
俺はこの瞬間の為に生まれてきた。
競走馬なら誰でも必ずそう思う。


中央競馬の華やかさからは程遠い、海に臨むとある地方競馬場。
突然そこにあらわれた老馬と駿馬。
老い、傷つき、自身の器の大きさを知り、そして或いは過去の栄光を重く背負った、馬と人。
人間の、渦巻く純粋な欲望を追い風に走り続ける
馬達の、突き抜ける貪欲な疾走本能を導き添い遂げる
燻り燃える命の物語。

「トロンプ・ルイユ」再演です。
初演も観ています。

6人の男と6頭の馬の話。
演じる役者は6人。
??
馬を人が演じます。
馬が人語を話します。(実際は馬同士の会話)

でも人と馬は通じ合いません。
言葉喋れないから、たまに通じ合ってると思っているが、
それは人の都合であろうか、それとも本当に通じたのか?

人と人の関係、馬と馬の関係、
ライバル、師弟、同士、様々な関係と問題。
夢を馬に乗せ、走る姿を見守るだけの厩舎のメンツ。

初演を観ているからか、それとも再演でブラッシュアップされたからか、
とてもすんなり世界観に入れました。
馬が喋る、人が演じる馬が馬に見える不思議。

確かに劇場が競馬場でした。

馬が合う、人間万事塞翁が馬など馬にまつわる諺が多く、
人と馬は常に一緒に歩んできた。
人馬一体、役者が馬と人を2役を演じるが、
それが一体化していた。

人も馬も語らないと分からない、
語ったとしても分からない。
通じることの難しさ。

ゲートが開けば走らないといけない競走馬、
朝が来れば生きなければならない人間、
共に引き返すことはできない。

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