『つやつやのやつ』

同期が死んだ。

周りの中で⼀番最初にテレビに出て、⼀番最初に賞を取って、⼀番最初に売れた芸⼈だった。

仲は良かった筈なのに、なんだか涙は出ない。

正直、今俺はそれどころではない。

隣にいる⾃分の相⽅がポンコツを超えてそもそもお笑いに向いていない。

俺が売れない原因は多分、いや 100%コイツのせいだと思う。 今⽇こそ解散を切り出したいのに、邪魔ばかり⼊る。

師匠も後輩も元カノも、いいから黙れ。

頼むから、ちゃんと悲しませてくれよ。

通夜の夜、何かになりたいけどまだなれない、芸⼈たちのお話。


『ファンファンファンファーレ!』

推しが死んだ。

駆け出しから売れるまでを⾒守った、お笑いという世界を教えてくれた芸⼈だった。

⼤好きだったから、涙しか出ない…

はずなのに、今のあたしはそれどころではない。

隣にいる友達が、空気を読めていない。

あんたの推しは死んでないとはいえ、振る舞いというものがあるだろう。

いまいち深刻になりきらない原因は多分、この⼦のせいだと思う。

今⽇こそちゃんと吹っ切れたいのに邪魔ばっかり⼊る。

いじわるな劇場スタッフも、芸⼈志望の変な⼥⼦⾼⽣も、いいから黙って。

お願いだから、ちゃんと悲しませてよ。

⼀周忌の楽屋裏、夢と現実をみる、出待ちの⼥の⼦たちのお話。

ムシラセは気になってた劇団でようやく土曜に初めての観劇。
よかった。
「つやつやのやつ」が短編で先に誕生したというので、
これだけでも楽しかったが、「ファンファンファンファーレ!」が加わる事で見える景色がグッと広がる。

「つやつやのやつ」
カブキ姐さん好きになってしまうわ(笑)
芸人と劇団は違うかもしれないが、先日解散した第27班の佐藤さんを通して見るのもなんかくるものがあった。
あとウィスパーさん演じるインコさんも芸人でコンビだったと聞くと全ての芸人が通る道の話なんだなぁと。

プロ彼女さんの内角をえぐるストレートの鋭いこと(笑)
中堅だけでなく、ベテランも抱えるもの。売れたものも。
隣の芝は艶々に見えるのか!?


『ファンファンファンファーレ!』
「つやつやのやつ」の後日談な物語。
推しとは?推してるようで、実は押されてる。
生きることを。
その支えを失った者の再生譚であり、推しへの想いって友情と同じかもしれない。
観てて泣いてしまった。
尊いものを観てしまったようです。


にほんブログ村


スポンサーリンク