劇団チョコレートケーキ - 第24回公演「サラエヴォの黒い手」

今から百年前、1914年6月28日。

オーストリア領サラエヴォで世界を変える銃声が響く。



今に続く苦難の『現代』の出発点、第一次世界大戦。

開戦百年の年に蘇るオーストリア帝位継承者暗殺事件『サラエヴォ事件』。



若きテロリスト達は何故引き金を引いたのか?



図らずも世界を変えた若者達と、

彼等に絡み付く思惑を描く歴史劇。

評価は、星4つです。
★★★★☆

濃厚な2時間15分でした。

セルビア民族の為、貧困で未来のない若者が、
賭けてみたテロ。
そこには純粋な思いもありつつ、
ファッション的な波に乗ってみたという感じもあり、
だから、イリイッチが自決しないで逃げればよいなんて、
言ったりと盗んだバイクで走り回る的な幼さを感じた。

かたや、セルビアの正規軍人である黒手組の面々。
彼らは大人であり理想を実現する為に若者を利用したが、
その結果が世界大戦であり、国の敗北である。
大セルビアを望み、
戦争を回避し国を守ろうとした彼らが国を滅ぼすとは…

そして裏から手を回してロシアの工作員が望んだ、
世界共産主義も結局の所、
ロシアを滅ぼし、ソビエトを誕生させたが、
そのソビエトは今はない。

黒い手が掴もうとしたのはなんだったのか。

ただ痛いほどの正義の話であり、
彼らの正義の鉄拳を振り下ろすのを止めることが、
出来たのだろうかと思ってしまった。


舞台上のセットは血で汚れたかのような壁や、
橋桁を思わせる感じで、雰囲気がありました。

俳優陣の迫力に100年前の目撃者になった気がしました。