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パラドックス定数 第30項 「D51-651」を観て [演劇]

pdx30omote.jpg
パラドックス定数
第30項「D51-651」
http://www.pdx-c.com/?cat=4
その機関車は、秩序を殺した。

薄暗い扇形車庫の奥に、
鋼鉄の塊がうずくまっている。
水を飲み、石炭を喰らい、
腹の中に炎を宿す生き物。

蒸気機関車。

ささやかな自信と誇りを持って、
その運転台に座り続けた。
煙を吐き、熱を放つ生き物を、
定刻通りに走らせる。

一人の機関士。

毎日の仕事だった。
何も変わらない筈だった。
ひとつの事故、ひとりの人間の死が、
すべてを狂わせた。

昭和24年7月5日。
下山事件、発生。

評価は、星5つです。
★★★★★

国鉄三大ミステリー事件のひとつである下山事件を題材にした演目でした。
舞台上にはパイプで組まれた格納庫を思わせるセットがあり、
機関車は流石にありませんでしたが、
照明と役者の演技で確実に機関車がそこにあるのが、
凄かったです。

下山事件は何故おこったのか?
下山総裁はその日何をしていたのか?
何故、国鉄は憲法違反してまで人員を削減したのか?
誰を削減したのか?
なぜ自分は首を切られなかったのか?

謎が徐々に明かされることはなく、
迷宮入りした事件と同様に、
機関車の壊れた照明に映し出されるように、
ぼんやりとした輪郭だけが浮かびあがる。

戦後の最初の事件。
夏の祭りの落とし前をつけた弁護士が、
まさかの再登場。
また負け戦。

昭和の陰の部分を見た気がします。
でも、平成の世でも同じように、
首切りはされ自由経済に翻弄されるは市井の人。
何にも変わっていないことが怖くなりました。

面白かったです。
次回公演が1年後というのが寂しいですが、
予定を空けて待っていたいと思います。

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